ライオンズゲートの日ですよ。宇宙の起源を考える。

毎年8月8日付近になると、スピリチュアル界隈では「ライオンズゲートが開きますねー」という話題がそこかしこで聞こえてきます。

なんでも、この時期は宇宙のエネルギーがより強くなるらしいのです。地球から見て太陽がしし座の方向に位置し、なおかつシリウスとの角度が特別な配置になることから、シリウスの方向からのエネルギーが強まる、という言われ方をしています。

そしてひょっとしたら、あの方向から人類の祖先はやってきたのかも……? なんていうロマンあふれる説もあるようです。もしそれが本当だったら、なんだか素敵ですよね。

こういう話でいつも思い出すのが、西アフリカ・マリ共和国の少数民族「ドゴン族」に伝わる、シリウスにまつわる不思議な伝承です。1930年代、フランスの人類学者マルセル・グリオールがドゴン族を調査したところ、彼らの間には「シギ・トロ(シリウス)」のそばに、肉眼では見えないほど小さな伴星「ポ・トロ」があるという言い伝えが残っていました。しかもその内容がやけに具体的で、「ポ・トロはシギ・トロの周りを50年かけて回る」「地球にはないとても重い物質でできている」というのです。

これがなぜ驚きなのかというと、実際に「シリウスB」という伴星は肉眼では見えない白色矮星で、シリウスAの周りをおよそ50年かけて公転し、非常に高密度な物質でできていることが分かっています。ヨーロッパでシリウスが連星だと唱えられたのが1844年、実際に望遠鏡でシリウスBが観測されたのが1862年。望遠鏡も文字の天文記録も持たなかったはずのドゴン族が、なぜそこまで詳しく知っていたのか——これが「シリウス・ミステリー」と呼ばれるゆえんです。

ライオンズゲート
ライオンズゲート

ドゴン族の神話には、さらにこんな話も伝わっています。「創造神アンマが宇宙や地球を創り、ノンモを創り、ノンモに似せて人間を創った。ノンモは人間の祖先とともに箱船に乗って空から大地に降りてきた」。そしてこのノンモは、シリウス星系からやってきた存在だと語られているのです。まるで人類の祖先そのものが、あの遠い星から旅をしてきたかのような伝承ですよね。

もちろん、この話には懐疑的な見方も根強くあります。ドゴン族が語ったとされる天文知識のうち、シリウス以外の部分は裏付けが乏しいものも多く、グリオールの調査より前に、西洋の宣教師や天文学者との接触を通じて知識が伝わっていた可能性を指摘する研究者もいて、真相は今も決着していません。とはいえ、科学的な検証はさておき、「祖先はシリウスの方角からやってきたのかもしれない」というロマンだけは、ライオンズゲートのこの時期にそっと胸に置いておきたい気がします。

物理学者が教えてくれた「宇宙138億年」の話

スピリチュアルな話はそれとして楽しみつつ、一方で気になったのが「そもそも宇宙ってどうやって始まったんだろう」という、もっと根本的な問い。

少し前に、物理学者の野村泰紀さんがYouTube番組『Rehacq(リハック)』に出演されていた「小学生でもわかる物理学」というシリーズを見ました。専門用語をできるだけ使わずに、驚くほど分かりやすく解説してくださっていて、文系まっしぐらで物理学とはほぼ無縁の人生を送ってきた私でも、「なるほど、なんとなく分かったような、でもやっぱりちゃんとは分かっていないような」という、あの独特の知的興奮を味わうことができました。

印象的だったのは、宇宙の始まりが「なんとなくそう言われている」のではなく、物理学の計算によって「およそ138億年前」だとかなり精密に導き出されている、という点です。神話や直感の話ではなく、数式と観測データの積み重ねでそこまで言えてしまうというのが、ちょっとした衝撃でした。

ダークマターとダークエネルギー、そしてライオンズゲート

宇宙からは、今この瞬間もいろいろなものが地球に届いています。光や電磁波はもちろんですが、私たちがまだその正体をよく分かっていない「何か」も存在していて、それが「ダークマター(暗黒物質)」や「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれているものたち。宇宙全体のエネルギーの大部分を占めているとされているのに、いまだに正体不明だなんて、ロマンがすぎませんか。

だとしたら、ライオンズゲートの時期に「本当に」宇宙からのエネルギーが増えているのかどうか、誰か検証してくれないかしら……と、ひそかに期待しています。科学とスピリチュアルの境界線上にあるこういう問いこそ、いつか誰かがきちんとデータで示してくれたら面白いなと思うのです。

「勉強しても実生活で使わない」なんて、もったいない

よく、数学や物理を「どうせ将来使わないし」と言って勉強を投げ出してしまうティーンの子がいますよね。でも、毎日手放せずにいるスマートフォンの中身も、いま話題のAIも、その根っこには物理学と数学がぎっしり詰まっています。

もし私が学生の頃に、「この方程式が、将来あなたのポケットの中のあの機械を動かすことになるんだよ」というふうに、日常のテクノロジーと直結させて教えてもらえていたら、物理学や数学への向き合い方はまったく違っていたかもしれません。抽象的な公式の羅列としてではなく、「いま使っているこれの正体」として学べる教育を、今の子どもたちにはぜひ受けてほしいなと思います。

さて、8月8日。空を見上げて「今日はライオンズゲートかぁ」なんて思いを馳せながら、同時に「138億年前、宇宙はどうやって始まったんだろう」と、科学とスピリチュアル、両方の目で宇宙を眺めてみるのも、なかなか贅沢な過ごし方かもしれません。