魚座の月食もすぎて、気づけば2026年ももうすぐ9月。今年もまた激動の一年でした。……というか、最近は毎年「激動」と言っている気がします。一体何が起きたんだっけ、と直近から遡ってみることにしました。
経済・生活の空気感
2026年は、株価が下がってはまた上がる、を繰り返した一年でした。オルカンやS&P500に積み立てていた人はラッキーな局面もあったはず。でもその裏では、値段が上がり続ける「インフレ」がずっと続いていて、「一体いつまで我慢すればいいの?」という空気も、変わらず生活のすぐそばにありました。

8月:自然の猛威と、遠くの正義をめぐる攻防
8月は、日本国内でも千葉や石川など各地で記録的な大雨が続きました。同じような「狭い範囲にドカッと降る」豪雨は、世界各国でも起きていて、気候の変化を肌で感じた人も多かったのではないでしょうか。
そして8月26日、大きな事故がありました。ネパールと中国・チベットの国境近くで、山の氷河がまるごと崩れ落ち、その氷の塊が谷を下って川に流れ込み、巨大な土石流と洪水を引き起こしたのです。あまりの規模の大きさに、当初は地震かと思われたほどでした。8月末時点で、両国合わせて死者800人以上(ネパール側734人、中国側16人)、行方不明者は約3,044人という、想像を絶する数字が伝えられています。今も捜索が続いています。
同じ8月には、ICC(国際刑事裁判所)をめぐる問題も広がりました。簡単に言うと、こういう話です——アメリカが「ICCは自国やイスラエルを不当に裁こうとしている」として、ICCの裁判官や所長(日本人の赤根智子さん)に制裁(資産凍結やアメリカ入国禁止など)を科している。それに対して今度は、アメリカの人権団体側が「その制裁自体が憲法違反だ」と裁判所に訴えた、という構図です。アメリカもイスラエルもそもそもICCに加盟していない国なのに、なぜここまで強く出るのか——という論争は、まだ決着していません。
6〜7月:世界が一堂に会した夏
6月から7月にかけては、2026 FIFAワールドカップが開催されました。今回から48か国が出場する大会になり、しかも北米3か国(アメリカ・カナダ・メキシコ)をまたいで1か月以上続く、過去最大級の規模。スポーツの祭典であると同時に、移民や治安、政治的なメッセージまで巻き込む、巨大な国際イベントになりました。
同じころ、2月末から続いていた「米・イスラエル vs イラン」の戦争にも、一つの区切りが訪れました。6月17日、トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領が「戦闘をやめる」という覚書に署名し、停戦へと向かい始めたのです。ただし「もう終わった」と言い切るにはまだ早くて、レバノンなど周辺地域では今も数十万人が家を追われたままで、人道的な状況は厳しいまま続いています。
またこの少し前、6月10日には、イランが「ホルムズ海峡を全面封鎖する」と宣言する出来事もありました。ホルムズ海峡は、世界の石油タンカーが行き来する超重要ルート。ここが本当に止まってしまえば、世界のエネルギーの流れが止まりかねない——という、かなりヒヤッとする出来事でした。
この数か月は、AIをめぐる話題も大きく動きました。ひとつは、AIを軍事や監視にどこまで使わせるのか、というAnthropic対アメリカ国防総省(ペンタゴン)の攻防。数年前ならSFの話だったようなテーマが、完全に現実の政治課題になりました。
もうひとつは、AI企業の「上場ラッシュ」。6月1日にAnthropicが、6月8日にはOpenAIが、それぞれアメリカの証券取引委員会(SEC)に株式上場(IPO)を申請しました。想定される会社の価値は、Anthropicが約9,650億ドル、OpenAIが約8,520億ドルという、AIの新興企業としては前例のない規模です(ちなみにロケットのSpaceXは、一足先に6月12日に実際に上場を果たしています)。ただし8月末の時点で、AnthropicもOpenAIもまだ実際には上場していません。Anthropicは早ければ年内という見方がある一方、OpenAIは「2027年まで延期するかも」とも報じられていて、この巨大IPO競争の行方はまだ見えない状態です。
2〜3月:地政学の激震
2月6日から22日にかけては、イタリアでミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開催されました。開会式では、ウクライナやイスラエル、アメリカをめぐる政治的な緊張が、観客の反応にもにじみ出ていたのが印象的でした。
そしてその直後、2月28日。アメリカとイスラエルが、イランへの大規模な軍事攻撃に踏み切り、戦争が始まりました。核施設や軍事施設が攻撃され、イランも報復。イランのトップである最高指導者アリー・ハメネイ師は、この最初の攻撃で死亡したと伝えられています。2026年を代表する地政学ニュースのひとつです。
このイラン攻撃と同じ時期、イスラエル軍はお隣のレバノンでも軍事侵攻を拡大し、26年ぶりに重要な拠点を制圧しました。表向きは停戦していることになっていても、実際には戦闘がやまず、4月時点でレバノン側の死者は2,500人を超えたと報じられています。イラン戦争のニュースの陰に隠れがちですが、規模としては見過ごせない出来事でした。
ガザをめぐる状況も、依然として膠着したままです。トランプ政権が出した和平案を、ガザを実効支配するハマス側が受け入れず、停戦や復興への道筋は見えないまま時間だけが過ぎています。これも大きなニュースの陰に隠れがちですが、「まだ続いている」ことを忘れないでいたい出来事のひとつです。
1月:波乱の幕開け
年明け早々の1月も、静かではありませんでした。トランプ大統領が「グリーンランドを取得したい」と改めて要求し、デンマークやNATO諸国との緊張が高まりました。
そして1月3日には、アメリカ軍がベネズエラを攻撃し、同国の現職大統領マドゥロ氏を夫妻ともども拘束、アメリカへ連れ去るという出来事がありました。「独裁的な指導者を退場させた」と喜ぶ声と、「よその国の大統領をこんな形で連れ去るなんて国際法違反では」という批判の声が、世界中で交錯しました。
それにしても、目まぐるしい
こうして並べてみるだけでも、目が回りそうになります。「これって今年のことだったっけ?」と一瞬迷うものも、正直ちらほらありました。次々と起きる衝撃的なニュースが、記憶を上書きし続けているのを感じます。
直近のネパール・チベットの土石流の映像は、本当に衝撃的でした。しばらく無力感が続いたのを覚えています。
小さな暮らしと、大きな世界のあいだで
そうでなくても、世の中はどんどん変わっていっています。ニュースにならない限り実感できないことも多いけれど、私自身、この暮らしの中でいろいろ考えさせられました。
たとえばこのAI時代、AIを動かすサーバーのために莫大な水と電気が使われていることを思うと、少しでも節電をと思い、カリフォルニアでは「景観を乱す」として禁じられている屋外の洗濯干しをこっそりしてみたり(うちのパティオは外から見えないので)。もちろんタオル類はガサガサになるので乾燥機を使うこともありますが。水やりもなるべく控えようとしたら、前庭のハーブが枯れてしまったり。AIさんとの雑談も、できるだけ減らそうとしています。
でも、一般市民がどんなに環境に配慮した暮らしをしようとも、どこかの国で戦争が起きて爆弾がひとつ破裂すれば、それによる環境への影響は、私たちの日々の努力なんて比べものにならないくらい莫大です。エネルギーだって桁違いに使う。核だって、一度使えば地球そのものが立ち行かなくなる、人類がいなくなるかもしれない代物なのに、それでもまだ作られ続け、「みんなで持ちましょう」というような空気すらある。
一般市民の思惑とはまったくかけ離れたところで、世界がどんどん形を変えていく——そんな感覚を、今年もまた強く感じています。
またしても、無力感。それでも、それだけでは終わらせたくない。2026年、夏の終わりのこの瞬間が、そんなことを静かに考え直すきっかけになればいいなと思っています。
