2026年11月1日、アメリカ中間選挙をわずか2日後に控えたタイミングで、獅子座の下弦の月を迎えます。
11月3日は、アメリカの中間選挙。
政治的な対立が注目される中、最近ではAIによる雇用への影響、データセンターの電力需要、生活費の高騰、さらには強いエルニーニョによる気候への影響など、私たちの暮らしに関わる問題が山積みです。
そんな時期に迎える今回の下弦の月。
ワシントンD.C.を基準にホロスコープを見てみると、なかなか象徴的な配置になっています。

獅子座下弦の月 — 権力と国民の意思
下弦の月は、太陽と月が90度の角度を形成するタイミングです。
占星術では、これまで進めてきたことを振り返り、必要のないものを手放し、方向性を見直す時期とされています。
今回は蠍座の太陽と獅子座の月。
獅子座はリーダーシップ、自己表現、誇り。
蠍座は権力、支配、隠されたもの、そして深い変容を象徴します。
どちらも不動宮なので、簡単には譲らない性質を持つとされる組み合わせです。
今回の下弦の月をワシントンD.C.で見ると、国家と国民の関係、対立する勢力、そして社会の理想と現実というテーマが浮かび上がってきます。
特に、国家の姿を象徴する領域には土星と海王星があり、責任や制約と、理想や不透明さが重なります。
また、集団や議会を象徴する領域には冥王星が位置しています。
冥王星は、表面的な変化ではなく、長期的な権力構造の変容と結び付けられる天体です。
もちろん、これだけで何らかの政治的な出来事が起こると予測できるわけではありません。
それでも、選挙直前というタイミングを考えると、興味深い星模様です。
社会を動かしているのは誰なのか。そして、その権力は誰のために使われているのか。
そんな問いを投げかけているようにも見えます。
選挙当日は、生活基盤と情報がテーマに
11月3日の中間選挙当日、月は乙女座へ移動します。
獅子座の情熱的なエネルギーから、乙女座の現実的で分析的なエネルギーへ。
選挙当日のワシントンD.C.正午のチャートでは、国民の感情を象徴する月が、経済的な依存や負債、共有財産に関わる領域に位置します。
さらに、その月は、変化や予想外の展開を象徴する天王星と緊張関係を形成します。
天王星が位置するのは、住居や国土、国家の基盤を象徴する領域。
占星術的には、国民の生活の安定や経済的な不安、既存の仕組みを変えたいという欲求を連想させる配置です。
また、逆行中の水星が社会的な権威や政府を象徴するMC付近に位置するのも印象的です。
水星は情報、コミュニケーション、報道、書類などを司るとされる天体。
選挙の時期だけに、情報の正確さや説明責任、社会の信頼関係というテーマが思い浮かびます。
ただし、水星逆行だから選挙で不正や混乱が起きる、という意味ではありません。
占星術は未来の出来事を科学的に予測するものではなく、あくまで象徴を通して社会のテーマを考える一つの視点です。
強まるエルニーニョ — 自然も落ち着かない
そして、政治や経済だけでなく、地球の気候にも目を向けてみましょう。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2026年10月8日の発表で、エルニーニョがさらに強まっており、2027年初めにかけて非常に強い状態が続く可能性が高いとしています。
エルニーニョ自体は、昔から数年ごとに繰り返される自然現象です。
しかし近年では、地球温暖化によって海洋全体に蓄積される熱量が増加しています。
エルニーニョの発生と地球温暖化は別の現象ですが、すでに温暖化した地球で、さらに気候の変動が重なるという状況です。
世界各地では豪雨や洪水、干ばつ、山火事などが問題になっています。
もちろん、それらすべてをエルニーニョや地球温暖化だけのせいにすることはできません。
しかし、自然災害による被害が増えれば、住宅、食料、保険、インフラなど、私たちの日常生活にも負担が及びます。
地球環境の変化は、もはや遠い国だけの問題ではなくなっているのです。
AI開発の裏側で、電気と水は誰が負担する?
そして、もう一つ最近気になるのが、AIデータセンターの急増です。
AIが人間の仕事を助け、将来は働かなくても豊かな暮らしができるようになる。
そんな夢のような未来が語られる一方で、それを支える巨大なデータセンターには大量の電力が必要になります。
国際エネルギー機関(IEA)の2026年の見通しによると、世界のデータセンターの年間電力消費量は、2025年の約485TWhから2030年には約950TWhへと、ほぼ倍増する予測です。
冷却方式によっては水も必要ですし、半導体や設備の製造にもさまざまな天然資源が使われます。
そして、アメリカではデータセンターの建設に伴う電気料金への影響が、今回の中間選挙でも注目される問題になっています。
実際、10月末の報道では、電気料金の上昇やデータセンターへのインフラ費用負担が、各地の選挙戦でも議論されていると伝えられています。
もっとも、電気料金の上昇には複数の要因があり、すべてがAIデータセンターによるものではありません。
それでも、ここで考えたいことがあります。
AIによって企業の生産性が向上し、莫大な利益が生まれたとして、その恩恵は一般市民にも十分に還元されるのでしょうか。
そして、AI開発のために必要になる電力や水、インフラ整備の費用は、誰が負担するのでしょう?
利益を得る人と、負担を引き受ける人が別々になってしまっては困ります。
ユニバーサルハイインカム?あるわけ無いじゃん。
最近、アメリカで暮らしていて感じるのは、普通の生活を維持することがだんだん難しくなっているということです。
若い人は住宅費が高くて独立できない。
年配者は老後資金が足りず、なかなか退職できない。
外食や旅行、ちょっとした娯楽まで、以前より気軽に楽しめなくなってきたように思います。
一方で、AIやロボット、巨大なデータセンターには、莫大な資金が投入されています。
もちろん、技術の進歩や経済成長は大切です。
でも、その結果として普通の人々の暮らしが豊かにならなければ、何のための成長なのでしょう。
以前、AIによって誰もが高い所得を得られるようになるという「Universal High Income(ユニバーサル・ハイ・インカム)」の構想を耳にしました。
AIやロボットが人間の代わりに働き、私たちは生活のために働く必要がなくなる。何とも夢のようなお話です。
しかし、これまでの歴史や現在の社会の流れを見ていると、私はどうもそんな楽観的な未来を想像できません。
むしろ、映画『未来世紀ブラジル』のような、巨大なシステムに人々が管理され、貧富の差がますます広がるディストピアに近づいてしまうのではないか、と思ってしまいます。
なぜなら、AIによって生み出された富が、自動的に一般市民へ分配されるとは考えにくいからです。
例えば、自動運転タクシーのWaymo。
Waymoの普及によってUberやLyftのドライバーの仕事が減ったとして、仕事を失ったドライバーにWaymoがその後の生活費をずっと補償してくれるでしょうか?
巨額の開発費を投じてきた企業が、利益を生み出すどころか、仕事を代替した人々の生活まで保障するとは、なかなか考えにくいものです。
もちろん、政府による所得再分配や社会保障制度が整備される可能性はあります。
でも、それが実現するまでの間、仕事を失った人たちはどうやって生活すればよいのでしょう?
AIが人間の仕事を奪う仕組みはどんどん完成に近づいているのに、AIが生み出す富を人間に分配する仕組みは、いったい誰が作るのでしょうか。
私が気になるのは、まさにそこなのです。
何とも素晴らしい話ですが、私はもう少し現実的なことを望んでいます。
Universal Decent Life — 誰もが人間らしく暮らせる社会。
安心して住める家があり、医療を受けられ、食事や娯楽を楽しめて、年を取ったら安心して引退できる。
それくらいの豊かさを、誰もが手にできる社会であってほしいものです。
下弦の月が問いかける、これからの社会
今回の獅子座下弦の月は、占星術的には、リーダーシップと権力、そして社会の方向性を見直すタイミングと読むことができます。
そして選挙当日は、国民生活の基盤、経済的な不安、情報への信頼といったテーマを連想させる星模様です。
もちろん、星が選挙結果を決めるわけではありません。
それでも、こうしたタイミングで社会の現状を振り返ってみることには、意味があるように思います。
政治、経済、AI、そして気候変動。
一見すると別々の問題ですが、どれも私たちの暮らしに深く関わっています。
そして共通しているのは、社会が大きく変化する中で、その利益と負担を誰が引き受けるのかという問いです。
技術が進歩し、経済が成長し、社会が豊かになったと言われても、普通の人々の暮らしが苦しくなる一方では、何だか釈然としません。
今回の中間選挙で、アメリカがどのような方向へ進むのか。
そして、これからの時代に、私たちは何を本当の豊かさと考えるのか。
獅子座下弦の月は、そんなことを考えるきっかけを与えてくれているようです。
権力を持つ人がさらに豊かになる社会ではなく、普通の人が安心して暮らせる社会。
そんな方向へ進んでくれたらいいのですが。
……もっとも、星にお願いするだけでは、電気代も家賃も下がりませんけどね。

