8月27日の月蝕、見たい。月蝕は不吉?どっちでもいい?

8月27日から28日にかけて、かなり大きな月蝕が起こります。

NASAによると、今回の月蝕は部分月食。アメリカ大陸をはじめ、ヨーロッパ、アフリカ、西アジアなど広い範囲で見ることができます。

「部分」といっても、ほんのちょっと欠ける程度ではありません。

ロサンゼルスでは月が昇ったあと、午後7時33分ごろから部分食が始まり、午後9時12分ごろに最大。月の約93%が地球の本影に入ります。

ほとんど全部じゃないですか。

グリフィス天文台も今回のイベントを「Partial Practically Total Lunar Eclipse(部分だけど、ほぼ皆既月食)」なんて呼んでいます。

科学的に考えれば、これは太陽・地球・月が並んで、地球の影の中に月が入るという天体現象です。

lunar eclipse bad or don't worry?
lunar eclipse bad or don’t worry?

日食と違って月食を肉眼で見ることに危険性はありませんし、赤っぽく見えるのも、地球の大気を通った太陽光のうち赤やオレンジの光が月まで届くため、と説明できます。

それは分かっている。

分かっているんですが……。

私、前にもわざわざ起きて見てるんですよね

月蝕と聞いて、ふと思い出したことがあります。

2018年1月31日に起こった、

「Super Blue Blood Moon(スーパー・ブルー・ブラッドムーン)」

です。

スーパームーン+ブルームーン+皆既月食ということで、当時かなり話題になりました。NASAもロサンゼルスのグリフィス天文台などから中継していました。

私、この時ロサンゼルスにいて、

早朝にわざわざ途中で起きて見たんですよ。

「Super Blue Blood Moon」なんていう、なんともキャッチーな名前をつけられたら気になるじゃないですか。

眠いのに起きて、外に出て、

見ちゃった。

そして今になって思い返すと、その後の数年間、私にとってなかなか大変な時期だったんですよね。

もちろん、

月蝕を見たから大変なことが起きた

なんて科学的根拠はありません。

たまたまです、と言われればその通り。

でも昔から世界のさまざまな文化で月蝕が不吉なものとして扱われてきた、と聞くと、

「いや、今回はわざわざ見なくてもいいんじゃない?」

という気持ちもちょっと出てきます。

2019年には「Super Blood Wolf Moon」

さらに翌年、2019年1月には、

「Super Blood Wolf Moon」

と呼ばれた皆既月食もありました。

こちらは私は見ませんでした。

そして、その約1年後には世界がCOVID-19でとんでもないことになりました。

……いや、1年も経っているので、さすがに月食のせいにするのは無理があります。

そんなことを言い出したら、月蝕のたびに世界のどこかで何か起きています。

月食は世界全体では年間0〜3回程度起こり、多くの年は2回前後です。皆既月食だけに限れば、起こらない年もあります。

しかも「世界のどこかで月食が起きた→その後1年以内に何か大事件が起きた」で探してしまうと、ほぼ必ず何か見つかります。戦争、災害、パンデミック、金融危機……1年も幅を取ればなおさらです。

でも、

「月蝕は不吉な兆候」

と考えていた昔の人たちを、完全に「迷信ですね」と笑い飛ばす気にもなれなくなってくるのです。

聖書にも出てくる「血のような月」

そして今回、Microsoftのパソコンに表示されるニュースを何気なく読んでいたら、

「この月蝕は聖書に書かれているものなのでは?」

というような内容の記事まで出てきました。

聖書には実際、「月が血のようになる」という表現があります。

『ヨエル書』や『使徒言行録』、そして『ヨハネの黙示録』にも、太陽が暗くなり、月が血のようになるという描写が登場します。

だからといって、2026年8月の月蝕が聖書の予言の成就だという証拠があるわけではありません。

ただ、「Blood Moon」という現象とこうした古い記述が結びつけられると、気になってしまう人がいるのも分かります。

昔の人は、なぜ月蝕を怖がったのか

今なら私たちは月蝕の仕組みを知っています。

でも、何千年も前の人が夜空を見上げていて、いつもの満月が突然欠け始め、暗くなり、赤黒い色に変わっていったらどうでしょう。

しかも、

「次は○月○日の午後9時12分ですよ」

なんて誰も教えてくれません。

それは怖かったでしょう。

王様や国に何か起きる前兆ではないか。

神様が怒っているのではないか。

災害や戦争が起きるのではないか。

そんなふうに考えたとしても、不思議ではありません。

だから世界各地には、月蝕を見ない、外に出ない、月の光を浴びない、といった伝承が残っているのでしょう。

で、今回どうする?

問題はここです。

2018年の私は、

早朝にわざわざ起きてまで見ました。

しかし今回はそんな努力すら必要ありません。

ロサンゼルスでは8月27日の夜。

月が昇るころにはすでに月蝕が始まっていて、午後9時12分ごろが最大です。

普通に起きています。

外に出たら見えちゃう時間です。

しかも月の9割以上が影に入る。

これは……

見たい。

好奇心の強い私が、

「ちょっとくらい見てもいいんじゃない?」

と言っています。

一方で2018年を思い出した私が、

「いや、前回わざわざ起きて見て、その後いろいろ大変だったじゃない。今回はやめとけば?」

と言っています。

科学的には、見ても何の問題もありません。

月の光を浴びたから不幸になるという科学的根拠もありません。

でも、昔の人が長い間「月蝕はちょっと不吉なもの」と考えていたことまで思い出すと、

わざわざ月光浴する必要もないか。

というのが今のところの結論です。

カーテンを閉めておこうか。

でも午後9時12分になったら、

「今ごろ最大なんだよな……」

と気になって、カーテンの隙間からちょっと見てしまいそうな気もする。

見たい。でも見ないほうがいいような気もする。

8月27日の夜まで、この葛藤は続きそうです。