アメリカの非情:リタイアメントについて

💭 アルゴリズムのせいで、退職記事だらけに…

会社のパソコンで「リタイアするにはいくら必要?」という記事を一度クリックした日からというもの、
アルゴリズムに捕まってしまい、まるで雨後の筍のように同じテーマの記事ばかりが出てくるようになりました。

読み始めると、アメリカでは**「安心してリタイアするには120万ドル(約1.2ミリオン)が必要」**という話があちこちで出てきます。

でも、よくあるQ&A形式の記事ではこんな感じです。

“私は62歳で401(k)に120万ドルあります。リタイアして大丈夫でしょうか?”
→ “うーん…まだ足りないね。”

こういうやり取り、驚くほど多いんです。
時には資産額が 60万ドル だったり 150万ドル だったりとバリエーションがありますが、
“もう十分ですよ、安心してリタイアしてください!”
という明るい返事にはまず出会いません。

🤷‍♀️ じゃあ一体いくらあったらリタイアできるの?

実際のところ、65歳までに120万ドルを貯めている人なんて全体の約5%にも満たないと言われています。
つまり「1.2ミリオンが標準」という書き方をされると、正直ちょっと現実味がない…。

そして、リタイア後に必要になる金額は 住む地域・家族構成・持ち家か賃貸か・医療費・ライフスタイル によってまったく違います。

たとえば、
ロサンゼルスでリタイアするのと、アイダホでリタイアするのでは家賃も生活費も雲泥の差。
家をすでに完済している人と、ずっと賃貸で住む人では必要な支出もかなり変わってきます。

アメリカのリタイアメント貯蓄の現状(ざっくりデータ)

アメリカの世帯がどれくらい退職口座(401kやIRAなど)を持ち、どの程度の残高があるのかを、最近の統計をもとにざっくりまとめた表です。

指標・条件分布・割合(目安)
退職口座(401k・IRAなど)を持っている世帯全世帯の約 54%
退職口座の残高が 100万ドル以上の世帯(全体ベース)全世帯の約 2〜3%程度
55〜64歳で、退職口座が 100万ドル以上ある世帯退職口座を持つ世帯のうち約 9%前後
65〜74歳世帯の退職口座「中央値」約 20万ドル
75歳以上世帯の退職口座「中央値」約 13万ドル

※数字はアメリカの調査機関や金融メディアの統計をもとにしたおおよその目安です。
「1.2ミリオン貯めている人」が多数派というわけではなく、むしろ少数派だということが分かりますね。

T-シャツ販売サイト:Zazzle :ピースウイング

When Can I Retire?
When Can I Retire?

🏘️ 「リタイアしやすい州ランキング」という記事も多いけれど…

同じくらいよく見かけるのが、**「最も暮らしやすい州ベスト10」**のようなランキング。
これも条件によって全然違います。

医療費が安い州

住宅価格が低い州

税金が低い州

シニア向けサービスが充実している州

どこを「重視」するかによって、まったく違う順位になります。

🌿 結局のところ、リタイアメントは「自分の条件で考える」しかない

どれだけ記事を読んでも、
“あなたの状況ならいくら必要か”
という答えは、家庭の事情・収入・支出・住む場所によって全く変わります。

だから、一般的な目安としての「1.2ミリオン」は参考程度にして、
・自分の暮らし方
・住みたい場所
・固定費がどれくらいかかるか
を基準に考えるのが一番現実的だと感じます。

そして何より、
「記事を読むだけで不安になりすぎないこと」
これがいちばん大事かもしれません。